被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 食べる通信を日本全国に広げる 今、高橋氏のビジョンは日本に広がりつつある。四国を皮切りに各地で「食べる通信」が創刊されている。取り組みを全国に広げ、かつ持続させるためにも、収益性の改善が必要であり試行錯誤の日々が続く。 想いのある生産者のストーリーを届けることで、都会の消費者が生産者と同じ価値観でつながり地方が自分のふるさとになる。そして両者が強く結びつくことで生産者にとって 考える。「食べる人が作る人にもっと継続して主体的に関わる仕組みを構築したい」高橋氏のさらなる挑戦がCSA(Community Supported Agriculture)というサービスである。一般的な一口オーナー制度は特定の生産者の会員となり会員料を支払うことで、収穫後にその生産者による商品が届くが、東北開墾のCSAはそれだけでなく、食で生産者と会員のふれあいを提供し、生産者の目指す未来を一緒に創るプラットフォームである。「命を支えるふるさと」を創造する喜びと感動を、食べる人と作る人が一緒になって分かち合っていく新たな関係がそこにある。 【名 称】 特定非営利活動法人東北開墾 【住 所】 岩手県花巻市藤沢町446-2 【代表者】 代表理事 高橋 博之 【連 絡】 TEL:080-9035-8598 【 H P 】 http://www.kaikon.jp/ 【Service】 http://taberu.me/ 【 E-mail 】 info@taberu.me 生産者と消費者の強固なつながりを作る また「食べる通信」は取り上げる生産者が毎月変わるため、生産者と消費者が継続してつながりを持てる仕組みが不足していると高橋氏は~ の具体的なメリットを実現する。その結果、さらなる多様な想いを持った生産者を増やし、またさらに多くの消費者が地方とつながる。この良い循環を生み出すことが「食べる通信」が魅力的な取り組みとなり、全国展開されていく条件であり、課せられた使命でもある。 己の意志を貫く覚悟が共感を呼び 事業が立ち上がる 高橋氏は東北食べる通信を立ち上げる以前、岩手県議会議員を務めた経歴を持つが、政治家から事業家になっても、高橋氏の想いは変わらない。高橋氏は事業立ち上げについて「事業は政治と違い少しの賛同者だけでも始められる」と語る。己の意志を達成するための手段が変わっただけだ。 「日本の一次産業を良くできるかどうかは分からない。東北食べる通信が成功する確信なんてない。僕にはアイディアとビジョンと意志しかなかった。できるかどうかではなく、僕の意志が重要だった」と高橋氏は当時の覚悟を語る。 高橋氏は事業の経験もノウハウも無い。「僕は風呂敷を広げるのは得意だけど、収める人がいなかった。けど、1年半アイディア、ビジョン、意志を言い続けた結果、掲げた旗に共感した人が集まってくれた」高橋氏の己の意志を貫く覚悟が共感を呼び、後に東北開墾の理事になるメンバーが事業立ち上げに協力することになる。l 共感による資金調達 「一番の苦労はお金。知人からの借金や僕の給料が無いのは当たり前」 事業立ち上げ時はビジョンに共感した知人から資金を借りたほか、復興庁の「新しい東北」先導モデル事業としての支援も受けたが、今もビジネスモデルの収益基盤は不安定である。こうした中、事業拡大のための資金調達手段として、(一社) MAKOTOが運営するクラウドファンディングである「チャレンジスター」で自分の想いを語り支援を仰いだ。高橋氏に惚れこみ一緒に資金集めを呼びかけ奔走したMAKOTOのメンバーの協力もあり、高橋氏のビジョンに共感した人々からチャレンジスター史上最高の520万円(支援者数350人)の資金調達に成功した。 彼らは、高橋氏に不足していたマネジメント、マーケティングなどの知恵を提供するだけでなく、高橋氏のビジョンをさらに磨き補強する存在となった。 79

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