被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 従業員の教育と一体感の醸成 大船渡温泉オープンにあたり、最も苦労したことに「従業員の教育・一体感の醸成」があったと志田氏は語る。地元の大船渡から従業員を多く採用したが、宿泊・サービス業の経験者は少なかったため、民宿「海楽荘」の従業員が大船渡温泉に応援に駆けつけて指導し、徐々にスキル・ノウハウの定着が図られているという。また、志田氏も新しい大船渡温泉に期待して入社してくれた従業員の期待に応えたい一心で、早朝のワカメ取り、市場での買い付け、日中はお客様の送迎、夜も遅くまでお客様の前で率先して働いた。やがてその姿を見た従業員も共感し、徐々に一体感が醸成され、業務が軌道に乗り始めたという。 今後の課題と挑戦 1000年続く企業を目指す オープンして間もない大船渡温泉であるが、復興需要は次第に落ち着きつつあり、今後は安定的な経営に向けてリピーター・ファン作りが重要になってくると志田氏は語る。「1000年続く企業」を目指すために、自慢である天然温泉や美味しい料理に加え、更なるサービス水 大船渡温泉を地元の憩いの場所、 そして大船渡の観光拠点に 大船渡温泉を地元の憩いの場にするために、志田氏は今後も日帰り温泉は続けていくという。また、将来の三陸道の全通による交流人口の拡大も見据え、軽トラ市も規模を拡大し、大船渡の目玉イベントとして大船渡市の集客に繋げたいと志田氏は考えている。「大船渡温泉を大船渡の観光拠点として、地元そして全国からのお客様に、大船渡の天然温泉・海の幸・産直品の買い物を楽しんでいただく場にしていきたい」今後も地域と共に繁栄していくとの想いを原動力に、志田氏の挑戦は続く。 【名 称】 株式会社海楽荘 【住 所】 岩手県大船渡市末崎町字大浜221番地2 【代表者】 代表取締役 志田 豊繁 準の向上を図り、地域の人々と触れ合う場としての魅力等、大船渡温泉ならではの売りをアピールし、お客様に満足してもらうとのことである。 経営ビジョン・事業構想の磨き上げ 志田氏は、自らの志や大船渡温泉にかける思いを確認し、事業構想を作り上げるべく、2013年8月、東北大学と東北ニュービジネス協議会を中心に、広く経済界の連携の下に被災地の復興と未来創造の鍵を握る「人づくり」を進める、東北未来創造イニシアティブ「経営未来塾」に第1期生として入塾する。そこで半年以上にわたりリーダーシップ・戦略・財務・マーケティングの講義・メンタリングを受け、2014年3月、卒塾式で地域住民を前に事業構想を発表した。 「経営未来塾ではスピーチを何度も繰り返し、自分が目指す夢・ビジョンが明確になった。また、過去を振り返り、自分の強みを活かした戦l 「地元事業者が繁栄して初めて自社が繁栄する。そのために、自社が提供できるものは何か」と考えた時、志田氏の頭に「軽トラ市」が浮かんだ。「三陸道の大船渡碁石海岸インターチェンジから車で3分という立地を、地元事業者も活用することは、大船渡のため、ひいては自社のためにもなる」と志田氏は地元との連携の重要性を強調する。 地元事業者との連携 略・打ち手を検討し、収支計画や具体的なアクションプランのある事業構想ができあがった」志田氏は、中小企業基盤整備機構による震災復興支援アドバイザーや金融機関に加え、人材育成道場でのメンターの協力も得ながら、共感を呼ぶビジョン、大船渡の海の幸を存分に利用した料理の提供や産直市の開催により大船渡ファンを増やすという地域貢献を目指した事業構想を作りあげたのである。 【連 絡】 TEL:0192-29-3165/FAX:0192-29-4011 【 H P 】 http://oofunato-onsen.com/ 【 E-mail 】 kairakus@dream.ocn.ne.jp 77

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