被災地の元気企業 40
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挑戦事例 農林漁業、宮古市 浜の暮らしの安定に 寄与する 「アカモクで浜の暮らしを安定させることが夢ですね」こう語るのは、岩手アカモク生産協同組合の代表理事である髙橋氏だ。アカモクとは海藻の一種であるが、ワカメやコンブといった有名な海藻とは異なり、三陸では捨てられていた海藻である。高校生の頃から起業することを決めていた髙橋氏は、地元の山田湾に大量に自生し、捨てられていたアカモクにいち早く目を付けた。この先見の明は、髙橋氏の父親の助言によるものである。「何故捨てられている海藻を秋田の業者はわざわざ採りにきているのか?何かあるに違いない」髙橋氏が調べてみると、秋田では「ギバサ」と呼ばれ昔から食べられていた海藻であり、味にはクセがなく、豊富な栄養素を含んでいることがわかった。髙橋氏は、この山田湾のアカモクを広め、販売し、その利益が地元である山田町の漁師の下に還元され、浜の暮らしが安定することを望んでいる。今後10年から20年をかけ、三陸有数の規模の水産加工メーカーとなることで、地元の山田町を盛り上げるだけではなく、社会に必要とされ、100年間も継続できるような企業を目指している。 取り組み(事業内容) 漁師の天敵!? ジャマ藻をビジネスに 1998年に設立した岩手アカモク生産協同組合は、海藻の一種であるアカモクに特化し、加工・販売を行っている組合である。事業内容は、カキの養殖イカダに自生し日光を遮ったり、船のスクリューに絡まるため、漁師にとって邪魔な存在だったアカモ クを、漁のついでに 採ってきてもらい、 これを原料として、 湯通し加工や乾燥加 工した商品を食品メ ーカーやスーパー、 外食産業に販売して いる。 岩手アカモク生産協同組合の挑戦 代表理事 髙橋 清隆 氏 岩手アカモク生産協同組合 ビジョン ● 美味しく、栄養価も高い山田湾のアカモクを広める ● 浜の暮らしの安定に寄与する ● 社会から必要とされる100年企業体を目指す 地域資源のアカモクの商品開発・ブランド化 アカモクの魅力 アカモクが他の海藻と比較して特に優れているのは、その栄養価の高さである。免疫力向上の効果があると言われるネバネバ成分の「フコダイン」や、脂肪燃焼効果が注目される「フコキサンチン」を豊富に含んでいる。その他、カルシウム・鉄分・カリウム・ポリフェノールといった成分も、ワカメやコンブ等の海藻と比較して豊富に含まれている。シャキシャキとした食感に、粘り気があるのが特徴で、海藻特有の臭みが少なく食 べやすいことか ら、消費者に受 け入れられる余 地は十分あると 髙橋氏は考えて いる。 74

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