被災地の元気企業 40
75/126

課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 【名 称】 有限会社秀吉 【住 所】 岩手県盛岡市黒石野1-28-7 【代表者】 代表取締役 渡邉 史隆 【連 絡】 TEL/FAX:019-681-1800 【 H P 】 http://www.olahono.com/ 【 E-mail 】 info@olahono.com 持続的な一次産業の確立に向けて 外部の経済的支援によりタイムリーな 事業立上げを実現 東日本大震災により生産者は大きな被害を受け、復旧のための資金を必要としていたことから、「生産者が事前に資金を確保できるこの事業を始めるタイミングは今だ」と判断したものの、岩手県においても原発事故による風評被害の影響が大きく、㈲秀吉においても既存の卸売事業の売上が落ち込んでいた。そのため、Olahonoの立上げにかかる資金負担が課題となっていた。 その際に利用したのが公益財団法人いわて産業振興センターによる「いわて農商工連携ファンド地域活性化支援事業」である。これは中小企業者と農林水産業者の連携による創業を支援する目的で助成金を提供するもので、これを活用することによりタイムリーな事業の開始が可能となった。 オーナーとの密接な コミュニケーションによる出荷時期の調整 Olahonoの取り扱う商品は農水産物であるため、その年の天候や生育状況により提供できる商品の時期や量が異なる。しかも、特定の生産者の畑や養殖場などから商品を提供する契約であるため、他の生産者から商品を仕入れて必要な販売量を確保することができないという点がこの事業の重要な課題であった。 そこで、生育状況により発送が遅れる場合にはオーナーへ生育状況の報告、今後の発送見込みなどのきめ細かな情報提供を行うと共に、収穫量に応じ分割発送を行う体制を整えた。また、生産体験イベントや生産者と一緒にその生産物を楽しむ食事会(「里の幸会」)を行うなど、オーナーに商品の生産過程に対する理解を深めてもらう取り組みも行っている。結果として、オーナーにとっては生産過程や生育状況に関する細やかな情報が入り、生産者の顔が見え、安心して旬の食材が手に入ることとなった。 生産者が経済的に安定して生産を続ける為には、商品によるものの、目安として商品1種類につき毎年500人のオーナーを確保したいとOlahonoでは考えている。 そこで、新規オーナー獲得のため飲食店との コラボレーションにより首都圏での食事会を開催することでOlahonoの認知度拡大を図っている。さらに、㈲秀吉が営む飲食店向けの卸売り(「CHEF’S WANT」)および個人消費者向けのネット販売(「S-FARM」)は、Olahonoの生産者を知ってもらう機会にもなっており、個人に限らず法人オーナーの拡大にもつながっている。 また既存オーナーの継続的な購入を促すため、現地での生産体験イベントや「里の幸会」の開催を増やすなど、より積極的に活動することで、持続可能な仕組み作りに挑戦している。 (ひでよし) 牡蠣の仕込み体験イベントの様子 震災から1年後に牡蠣のいかだ作りを体験するオーナーなど 73

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です