被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 【名 称】 株式会社IIE(イー) 【住 所】 福島県河沼郡会津坂下町大字 青木字宮田205番地 直販比率の向上と卸店舗数の拡大 「現状の売上の中には復興特需の一過性のものも多い」と谷津氏は冷静に分析する。丁寧なものづくりを目指し、中量生産にこだわりながら今後利益を上げていくためには、利益率の高い直販の比率を上げる必要があり、自社ギャラリーの設置や、自社通販サイトの改良に取り組む方針だ。なお、商品の卸売先についても、IIEの「地域の技術・資源を生かしたものづくり」の価値を理解し・共感する先を地道に広げていく予定である。 地域の魅力を発信のため、新事業への展開 谷津氏のこれまでの取組は「ふくしま復興塾2014」グランプリ受賞、「ふくしまベンチャーアワード2014」銀賞受賞(写真前列左)など、外部からも高い評価を得ている。しかし谷津氏は自社の事業の拡大だけでなく「事業を通じて地元の課題を解決し、乗り越えて幸福をつくっていくこと」を目指す。現在、IIEは会津木綿のストール製造以外に野菜販売や会津の食材をストーリーと共に全国に広める「会津食べる通信」の立ち上げに向けた事務局運営も行っている。「会津木綿に限らず、地域の良いもの、日本の良いものを発信していきたい」谷津氏の挑戦は始まったばかりである。 地域の女性や高齢者の力・知恵の活用 「作り手の方々には、納期や数量をうまく調整しながら仕事を依頼し、各人が自分のペースで製作ができるよう工夫している」谷津氏は、作り手である地域の女性や高齢者の力を最大限に活かすため、時間や場所を問わず自由な働き方ができるよう努めている。また、「商品企画シート」で作り手の知恵を活かした商品開発も行ってきた。 「作り手の高齢者の方が、『自分で稼いだお金で孫におもちゃを買ってあげることができた』と喜んで話してくれたのが、何より嬉しかった」と谷津氏は地域の仕事づくりに貢献できた喜びを語る。 緊急雇用創出事業に対する補助金の活用 ゼロから事業を立ち上げるにあたり、資金面での支援は役立ったという。特に福島県から緊急雇用創出事業「起業支援型地域雇用創造事業」として受けた補助金は、資金的な制約がある中で事業を立ち上げた谷津氏にとって貴重な下支えとなった。 「今は資金面で補助金の恩恵を受けているが、補助金の対象期間が終了する今年度以降が勝負と考えている。ものづくりのビジネスには在庫は必須。事業に必要な運転資金をきちんと把握し、日々のキャッシュフローをみながら経営する必要がある」谷津氏はキャッシュフローの重要性を強調する。 地域の持つ資源・技術の活用 谷津氏は、地域の伝統品である会津木綿を活用すること、地域に伝わる技術を使うことで「次世代につなぐものづくり」を目指している。現在の社屋も町から幼稚園の跡地を借りるなど、地元資源の活用にも積極的に貢献している。その上で、ものづくりでは「手仕事が入っていること」、「作り手・使い手・売り手の三方良しであること」、「商品としての本質的な価値があること」の3つが重要であると、谷津氏はものづくりへのこだわりを語る。 【代表者】 代表取締役 谷津 拓郎(やづ たくろう) 【連 絡】 TEL/FAX:0242-23-7760 【 H P 】 http://iie-aizu.jp/ 69

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