被災地の元気企業 40
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創造的な産業復興のモデルとなる取組とは~被災地企業の事例~今後の支援のあり方は “伴走型”被災地が今後、持続的に成長していくためのご助言をお願いします。被災地の企業は、業種や地域によって、それぞれ置かれている状況が異なっています。被災地での課題を解決したいという強い思いやビジョンをお持ちの企業であることが前提ですが、そのような企業に寄り添った形での支援、いわゆる“伴走型の支援”が必要になっていると認識しております。 また、これまでにない新しい付加価値を生み出すためには、自社のみで考えるのは限界があるでしょう。企業も地域も好循環を作るためのプロのサポーターが必要だと思います。さらに、ヒト・モノ・カネ・情報をセットで支援していくことが大事になります。強く同感いたします。国主導による一律の支援スキームのみならず、民間の方々のアイデアと情熱があるところに予算や制度をつけていくことも考えていくべきだと思います。自身の経験からですが、Iターンの人材活用は一つの切り口となると思います。地元の人は、常に近くにあるがゆえ、地域の魅力や貴重な資源に案外気づかないものです。地域で活動をしていくには、地に足をつけ、周囲に思いや覚悟を示していくことが重要だと思いますが、地域の外から移住者が増えることで、何か新しいものが生まれるのではないかと考えます。今日は、貴重なご意見をありがとうございます。被災地の皆さんの「安定した生活」を取り戻すために、復興庁としても様々な支援により地域全体を活性化させていけるよう、今後ともしっかりと取り組んでいきたいと思います。被災地でのチャレンジを後押ししていく役割として、このたび、「被災地の元気企業40」が作成されましたが、復興庁が掲げる「創造的な産業復興」の一助となる取組のポイントなどございましたら、監修委員座長と企業の各々の立場から、お教え下さい。今回「被災地の元気企業40」で紹介されている40事例は、まさに幅広い分野、多様なレベルで、被災地の経済再生に向けて取り組んでいる優良な事例です。 震災を機に、人々の意識や覚悟に大きな変化が起こり、新たな事業の立ち上げや、農林水産業を中心に同業種間が協力しあってサプライチェーンやサービスを再構築するなどの動きが生まれてきています。また、被災地の外からリーダーシップのある若者らが被災地に来て、被災地の内と外を繋ぐための取組を推し進めることで、被災地の人たちも発奮していくという好循環が生まれています。今後は、広い意味での官民連携をむしろ「民」の側から提案していくことが重要であると考えています。このような側面から復興の次のステージを導いて頂けることを期待しています。高台移転などは「官」が得意とする部分です。一方、売れる商品づくりや、販売先を確保すること等は「官」が苦手とするところであり、官民で連携を強化し、「民」の知恵を活用していくことでより効果的な支援を進めていくことが重要でしょう。 その意味で、(株)磐城高箸の高橋社長は、事業を一から立ち上げ、様々な困難に直面しながらも、「民」から新たな発想で取組まれていることで、まさに参考となる取組ではないかと思います。ご紹介頂きありがとうございます。弊社は箸を生産している企業ですが、一般的な構造材としては利用しにくい間伐材を100%使用して、生産から販売まで自社で一手に行っています。また、木材はほぼ廃材がでないように使い切るような工夫をしています。 私は、祖父がいわきの林業に携わっていたことがきっかけで木こりになろうと県外からいわきに移住してきました。 実際に森に入ってみると、丸太の価格はピーク時の7分の1まで落ち込んでおり、林業が産業として如何に深刻な状況にあるのかということを痛感しました。そして、このまま衰退させてはいけないという問題意識のもと、一般的に衰退産業と認知されている林業で、付加価値をつけて、ビジネスとして成立させることに挑戦したいと思いました。割り箸は使い捨てという認識が一般的だと思います。その認識を変えていくことには、相当な苦労をされたのではないかと思います。(株)磐城高箸さんは、昨年度の事例集に掲載され、また今年度の復興ビジネスコンテストでも大賞を受賞されましたが、その後の反響はいかがでしたでしょうか。お蔭様でノベルティーの注文が増えました。復興庁より情報発信して頂いたことで、“たかが割り箸屋”と思われていたところから、“されど割り箸屋”というイメージを持たれるようになってきました。「よく見ると良いものだ」と立ち止まって見て下さる方が増えてきたと実感しています。大滝竹下高橋大滝竹下竹下高橋竹下高橋5

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