被災地の元気企業 40
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挑戦事例 水産加工・食品製造業、気仙沼市 「みらい食の研究所」は、気仙沼市や陸前高田市で事業を営む、㈱斉吉商店、㈱石渡商店、㈱オノデラコーポレーションおよび㈱八木澤商店の4社により2013年4月に結成。「地域の食」をテーマに共同で商品開発を行っている。 4社は水産加工品の製造・販売、ふかひれ商品の加工・販売、水産物の輸出入業及びコーヒーショップ経営、醤油の製造・販売とそれぞれ事業は異なるが、東日本大震災によって、工場や住居を全て失った点で共通する。 しかし、代表の河野氏(㈱八木澤商店 社長)は「震災は一つのきっかけではあったけれど、震災がなくとも、このプロジェクトはスタートする必要があったと思います」という。宮城県および岩手県中小企業家同友会を中心に、震災以前より4社は交流があり、労働人口の減少などの地域経済の問題に対する解決策を模索してきた。 「震災からの復興で終わりではない。その後の地元企業の成長、地域経済の活性化のためには、真剣に磨きあいながら、共に成長していくことが重要なのです」 みらい食の研究所では、成果を生み出すためのマーケティング方法も含めて、お互い真剣に議論、トライ&エラーを繰り返している。企業連携のモデルケースとなり、モデルを波及させ、三陸エリアを含む地域経済の活性化を目指している。 取り組み(事業内容) スープを選んだのは、「簡単に食べられる、ほっとする、食べるありがたみを感じる、こころ・身体にいい」といった理由からである。 現在、枝豆と白だしのポタージュ(写真)などの12種類の冷凍パックによるスープが発売されている。これらのスープは各社が普段から扱っている食材に加え、今まで扱っていなかった地元の食材の活用にも挑戦することで、バラエティ豊かなラインアップを揃えている。どのスープも袋のまま熱湯に入れて5分でできる手軽さにもかかわらず、その食材を生かした美味しさが魅力で好評を博している。また、スープを用いたアレンジレシピも発信するなど、需要喚起のための工夫がなされている。 各社の得意分野やノウハウを活用 みらい食の研究所は、代表の河野氏をはじめ、斉吉商店の斉藤純夫社長・斉藤和枝専務、石渡商店の石渡久師専務、オノデラコーポレーションの小野寺靖忠専務・小野寺紀子常務を中心に構成され、各社の得意分野やノウハウを持ち寄りつつ、積極的に議論を交わし商品開発を行っている。 「madehni(までーに)」ブランド商品の開発 代表 河野 通洋 氏 ブランド名である「madehni(までーに)」は、三陸の方言で「手間を惜しまず丁寧に」という意味。「こころ・身体にしみいる食を三陸から届ける」をテーマに、各社が味やコンセプトを磨きあいながら商品開発を行ってきた。その活動により復興庁の「新しい東北」復興ビジネスコンテスト2014の優秀賞を受賞している。 被災経験のある4社が行き着いた答えがmadehni(までーに)ブランド第1弾の「スープ」。 ● 連携により、1社ではできない商品開発・販売体制を実現 ● “こころ”まで伝えられる商品開発・販売 ● 三陸エリアへの波及による地域活性化 企業連携から地域経済の 活性化を目指す みらい食の研究所の挑戦 異業種連携により地域経済の活性化を目指す みらい食の研究所 ビジョン 枝豆と白だしのポタージュ 60

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