被災地の元気企業 40
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V 「リアスフードを食卓に」 プロジェクトで気仙沼に 人の流れを作り出す 「三陸の海の幸のもつ新しさ、便利さ、懐かしさ、正直さを、リアスフードとして日本の食卓に届けたい」 気仙沼水産食品事業協同組合(以下、「組合」)の代表理事である清水氏は「リアスフードを食卓に」プロジェクトへの思いを語る。組合は2007年、気仙沼で水産業を営む4社(㈱八葉水産、㈱モリヤ、村田漁業㈱、㈱アグリアスフレッシュ)でスタートした。当初は水産加工品の原料の共同買付、海外研修生の受入が目的であった。 震災後、清水氏は組合4社の協力関係を活かして地域食材を使い商品開発を行う「リアスフードを食卓に」プロジェクトを立ち上げた。その理由を清水氏は、「リアスフードという地域食材を使った『商品開発』や『ブランディング』を通じて生産地と消費地とが交流することで、水産業を復興させるだけでなく気仙沼ファンを増やし、地域を盛り上げることが必要」と感じたからだという。 しかし、組合の力だけでは、商品開発やブランディングに必要な「知恵・ノウハウ」、「資金」は十分ではなかった。清水氏はプロジェクトを進めるために、「リアスフード」への思いに共感する多くの協力者と共に気仙沼のファン作りへの挑戦を決意した。 「最初は気仙沼の4社でスタートするが、いずれは釜石、大船渡、南三陸等他地域でも同様の取り組みの立ち上げを促し、地域間の連携を目指したい」 清水氏は将来的な地域連携を目標にしつつ「リアスフードを食卓に」プロジェクトを進めている。 取り組み(事業内容) 組合4社による新商品開発 三陸の海の幸のもつ新しさ、便利さ、懐かしさ、正直さを伝えるリアスフードのコンセプトを軸に、まずは組合4社が各社で新商品開発に取り組んでいる。商品開発にあたっては、ブランドイメージを統一するために共通のブランドロゴマークを作成し、リアスフードブランドを広めていく予定であるという。 気仙沼水産食品事業協同組合の挑戦 代表理事 清水 敏也 氏 気仙沼水産食品事業協同組合 ビジョン ● 「リアスフードを食卓に」プロジェクトで、気仙沼に新しい仕事・人の流れを作る ● 産地と消費地との交流の輪を広げ、気仙沼ファンを増やす ● 「リアスフードを食卓に」プロジェクトを地域連携の取り組みに広げていく 挑戦事例 気仙沼から広域連携による新たな食品ブランドを目指す 水産加工・食品製造業、気仙沼市 生産地と消費地の交流の一環として、気仙沼や都内の高校生からリアスフードを用いた料理・レシピを提案してもらい、組合が商品化を目指す取り組みも始まった。キリン絆プロジェクトの支援を受けて、2014年8月、気仙沼「海l 高校生やプロの料理人との商品開発 の市」にて、日本を代表するシェフ(熊谷喜八シェフ、伊藤勝康シェフ、奥田政行シェフ)を審査員に招いた「第1回リアスフードグランプリ最終審査会」が開催され、気仙沼向洋高校の生徒による「サメ肉団子」がグランプリに輝いた。「サメ肉団子」は実際に商品化がなされ、テストマーケティングをしながら今後の全国展開を目指していくという。「食べ物を通じて皆が仲良くなり、気仙沼のファンが1人でも増えてくれれば良い」と清水氏は語る。 また、新商品開発にはプロの力も必要である。著名ホテルのシェフ等を招きリアスフードを使った今までにはない新しいオリジナル商品の開発も始まっている。「今後、気仙沼の海の幸・山の幸を活かした新商品をプロデュースしていきたい」と清水氏は意気込む。 54

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