被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 及川氏によればオイカワデニムの経営状況はほぼ震災前に戻り、また、震災後の試行錯誤の中で身につけた+αはかけがえの無い財産となっているという。「時代はすでに復旧ではなく『復興』のステージ。震災を乗り越え培った+αで気仙沼にどんな貢献ができるかさらにブラッシュアップしていきたい」と及川氏は今後の決意を語る。 震災を契機に今までは考えてもみなかった新しい製品コンセプトにチャレンジしたことで、オイカワデニムの目指すべき方向性が明確になってきた。 地元の良さ・強みを活かし、地元も自社もwin-winになる関係を目指す 課題克服のポイント 迅速な事業再開が注目度向上につながる 「震災後すぐに動き出したことが復旧・復興の重要な要因だった」と及川氏は当時を振り返る。震災後、操業再開に向け4月4日には発電機を調達し、すぐさま操業再開に向けて動き出し、4ヶ月後の8月19日には「shiro0819」を立ち上げ、今までとは一線を画す取り組みに挑戦した。操業再開が早かったこと自体が、世間からの注目も浴び、知名度の向上につながったという。 困難な状況の中、勇気を出して事業再開を決断した秀子社長に、周りが共感したのである。 地域資源を有効活用した商品開発 下写真のバックは「shiro0819」ブランドの商品である。素材の一部にはサメの皮と漁で使われていた網が用いられている。サメの皮は、今まで有効に活用されずにいたが、独自の技術によりバックの生地とする事に成功した。網も、一部が破損し漁に使うには不向きだが、破損していない箇所を選定することで十分に素材として使用することができる物であった。こうした素材を有効活用することによって、フカヒレで有名な気仙沼ならではのオリジナリティ溢れる商品に仕上がっている。 震災後、ずっと「地域の会社として、地域に貢献がしたい」という想いを持っていた秀子社長は、「我々としても新しい方向性を見つける事ができ、漁師の方々としても今まで価値を見出していなかったものから思わぬ副収入を得ることができる。この製品は当社の技術だけではない様々な思いや繋がりが含まれた一品なのです」と語る。 今後の課題と挑戦 震災前からMade In Japanに対する強いこだわりはあったが、震災を機に今までとは違う自社独自の純正Made In Japanへ大きく進化を遂げた。現在は製品の生地からこだわり抜いた新商品を開発しているが、ゆくゆくは地元気仙沼ならではの素材を主軸とした製品、環境にとことん配慮した製品を世界中に展開し、地元・自社が共に繁栄するwin-winの関係を継続していきたいと考えている。 真の復興まで道のりは長いが、オイカワデニムの挑戦は尽きない。 サメの皮と漁で使われていた網を使用した 「shiro0819」ブランドの商品 【名 称】 有限会社オイカワデニム 【住 所】 宮城県気仙沼市本吉町蔵内83-1 【代表者】 代表取締役 及川 秀子 【 連 絡 】 TEL:0226-42-3911 /FAX:0226-42-3912 【 H P 】 Studio Zero http://zerodenim.com/index.htm shiro0819 http://www.shiro0819.jp/ 【 E-mail 】 o-denim@world.ocn.ne.jp 53

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