被災地の元気企業 40
54/126

挑戦事例 ものづくり産業、気仙沼市 気仙沼に雇用を作り 地域全体を潤したい 「会社を避難所とし、約150名の市民と共同生活をしたことで、目線が大きく変わったんです。それまで深い関わりの無かった漁師さん達と昼夜を共にすることでこれまでに無い発想に結びつきました。自社の繁栄のみでは不十分、これからは地域全体の復興を真剣に考えないと本当の豊かさにならないと思うんです」こう語るのは、気仙沼市で有名ブランドジーンズの生産を手がけつつ、独自のブランド商品も製造販売してきた㈲オイカワデニムの及川洋常務である。 今では自社の繁栄だけにとどまらず、気仙沼に雇用を創出し、地元の素材を活かした製品を開発することで地域復興に貢献しよう、という大きなスケールで活動する方針へと大きく舵を取っている。 取り組み(事業内容) ビジョン ● 気仙沼に雇用を生み出し地元復興に貢献する ● 地域資源を活用した商品開発を実施し、地元住民を巻き込んで 豊かになる 純正Made In Japanへのこだわり 震災以前から海外の富裕層に人気の高かった独自ブランド「Studio Zero」のジーンズ。日本でも有名タレントや一流スポーツ選手に愛用され続けてきた。 国内のアパレル市場において、生地の生産から縫合、完成までの全ての工程を日本国内のみで製作している品物は5%にも満たない。その中でオイカワデニムの製品は生地一つ、バックル一つにおいても「純正Made In Japan」へこだわり続けている。 オイカワデニムは自社倉庫が津波の直撃を受けたが、猛烈な津波の衝撃にバックルの錆も糸 3.11を忘れない。 ブランド「shiro0819」の立ち上げ 「人として当たり前の生活を取り戻そう。しっかり稼いで、しっかり食べて生きていけるように」という及川氏の母である秀子社長の一言から活動を開始したブランドが「shiro0819」だ。 多くの市民が職を失った震災直後の気仙沼で、何としても自社で雇用を創出するという思いから生まれたブランドゆえ、未経験者の技能習得にも配慮し、商品はほとんど直線縫いをベースに生産されている。 また、生地の一部には震災で泥をかぶってしまった大漁旗が再利用されており、身近に使ってもらうことで3.11を風化させまいとする想いが込められている。 有限会社オイカワデニム オイカワデニムの挑戦 ブランド力と地元資源を組み合わせ地域の復興に貢献 常務取締役 及川 洋 氏 のほつれも無く耐え抜いたジーンズを手にしたとき、「純正Made In Japan」という今までのコンセプトに間違いはないと及川氏は確信したという。 52

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です