被災地の元気企業 40
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取り組み(事業内容) ビジョン ものづくり産業、仙台市 新しい銅ペースト技術で 東北大学発ベンチャー企業が世界を目指す 世界の注目を集める 東北発ベンチャーが 東北の未来を創る マテリアル・コンセプトの挑戦 株式会社マテリアル・コンセプト 代表取締役 小池 美穂 氏 ● グローバル企業を目指し新たな産業と雇用を創出する ● 東北発イノベーション創出の起爆剤となり、製造業の活性化に繋げる ● 太陽光発電の普及拡大の一翼を担う 震災後、より注目度を増している再生可能エネルギー。その一つである太陽光発電の関連分野において世界から注目を集める技術を有するのが、東北大学発ベンチャーの㈱マテリアル・コンセプトである。太陽光発電パネルに使われる集電電極を従来の銀から銅に代替する技術を確立し、低価格かつ高効率な太陽電池の製造を可能にする。 会社誕生のきっかけとなったのは、震災復興に貢献したいという強い想いだった。「震災後、津波被害の残る被災地を訪れ、その惨状を見て、復興のために貢献出来ることはないかと考えるようになりました。そんな時、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの奮闘に東北の人々が勇気付けられるのを見て、自分の得意分野で活躍することが東北への貢献につながると確信しました」と社長を務める小池美穂氏は語る。小池社長は、科学技術支援を行っていた自身のキャリアを活かし、材料研究・開発を長年手がける東北大学の小池淳一教授とともに2013年4月、マテリアル・コンセプトを設立した。 「東北発イノベーション創出の起爆剤となって、東北の活性化に繋げたい」小池社長の願いは自らの会社を成長させ産業と雇用を創出するだけでなく、東北発ベンチャーが次々と生まれる風土が醸成されることだ。 東北発のベンチャー企業が東北の未来を創る、小池社長がその先鞭をつける。 世界初の新技術を用いた銅ペーストを開発 燃料費が不要な太陽光発電のコストは、設備と設置工事費の価格でほぼ決定される。現在、太陽電池の主流であるシリコン太陽電池の材料コストは、全体の約1/4を集電電極である銀ペーストの価格が占め、原料価格の安い銅ペーストで代替できれば材料コストを2割削減することが可能となる。 一方、銅をペースト材料に採用するには、銅がシリコン基板へ拡散しやすいなどの課題があったが、小池教授は銅の拡散を防ぐバリア層を形成する技術を用いた銅ペーストの実用化技術を世界で初めて確立。低価格化を実現しただけでなく、銀ペーストと同等以上の変換効率も達成した。 銅ペーストの技術を活用した太陽電池が実用化されれば、国際競争力を備えた製品をつくることができる。マテリアル・コンセプトは、2015年度中の銅ペーストの量産開始を目指す。これに伴い2014年11月現在14名の従業員数を2016年度には30名まで拡大する予定で、新たな雇用の創出という面でも東北に貢献する。 銅ペースト 挑戦事例 48

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