被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 企業との連携で販路を拡大 大槌刺し子では発足当初より販路確保を意識して企業との連携に力を入れてきた結果、社内販売品用として納品したり、生産管理の技術支援や大槌刺し子のHP製作の支援を受けたりするなどの成果につながっている。さらに連携を強化するために、共同開発やノベルティグッズの制作など企業との連携メニューを数多く提案したことで、企業ニーズを捉えることに成功し売上の確保につながった。一方、連携する企業側としても、担当する社員が企画から生産管理、販促活動まですべてを経験できる貴重な機会として受け止められ、人材育成の観点からも好評を得ている。企業との連携の一例として、「無印良品」を運営する㈱良品計画と共同企画した商品が、同社の店舗やネットストアで販売されている。同社は大槌刺し子が一時の復興支援事l スタッフの主体性を育み、 事業の現地化を推進 大槌刺し子では2015年度中に株式会社化する方針を打ち出し、刺し子を単なる復興支援プロジェクトではなく、地元に根付いた産業にすることを目標としている。事業の現地化を進める上でのポイントは、地元スタッフの主体性の向上だ。大槌刺し子ではスタッフとして働くことになった地域住民にビジネスの基本から丁寧に指導した上で、多くの業務を任せることで事業の現地化を促進している。例えば、商品を見込み生産する場合には余剰在庫による資金繰りリスクがあることを理解してもらった上で生産管理を任せることに成功した。 このように地道な取り組みを続け、実績が積み上がるにつれて、地域の作り手たちは事業の現地化による継続を望むようになっている。会社化の後も当面はテラ・ルネッサンスが協力を続ける予定であるが、刺し子の作り手だった地域の人達も販売や商品企画に携わるようになるなど、地域の産業として発展させるため、日々奮闘している。 今後の課題と挑戦 【名 称】 特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス 【住 所】 岩手県上閉伊郡大槌町小槌第26地割字 花輪田128番地4 【代表者】 プロジェクトマネージャー 内野 恵美 【連 絡】 TEL/FAX:0193-55-5368 【 H P 】 http://tomotsuna.jp/ 技術力、商品力の向上 大槌に根付いた事業として刺し子を発展させていくためには、刺し子の商品力をもっと高め、「売れる」商品として成長させていくことが必要である。大槌刺し子は伝統的な刺し子と比べて技術力とデザイン力にはまだまだ向上の余地があると内野氏は考えている。伝統的な刺し子のように複雑な模様や縫込みを行うにはまだ技術を向上させる必要があり、併せてコスト面も意識する必要がある。 刺し子を大槌の産業とするため企業とのコラボレーションや営業活動は今後も積極的に続けるが、一番重要なのは作り手の想いである。大槌刺し子の強みの一つは地元を愛する作り手が 多く集まっていることである。作り手の地元を 愛する気持ちがあれば、大槌の産業として発展すると信じ、課題である技術力の向上に力を入れていく方針だ。 <企業との連携メニュー> 業で無く、地域の産業として発展するという事業目的に特に共感したもので、店舗では復興支援目的では無く、図柄などの商品性に引かれて購入する顧客が増えてきていることから、「今後も継続して商品の共同開発を進めたい」と同社の担当者は話す。 「大槌刺し子 Sorakamo ブックカバー」などの商品 45

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