被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント NPOとの連携で新しい商品づくり 三陸パートナーズ設立の大きなきっかけとなったのが、震災直後から「東北の食を守ろう」をスローガンに復興支援を行っている、NPO法人ソウルオブ東北との出会いであった。 一流シェフの協力を得ながら東北の食材や加工技術を生かした新商品の開発を目指していたソウルオブ東北と、高付加価値商品を開発したい三陸パートナーズのニーズが合致し、両者の協力体制が生まれた。これにより、三陸パートナーズのマーケティングや商品の企画、ブランディングに関しては、ソウルオブ東北が紹介したシェフやフードコーディネーターなどの専門家が参画し協力することになった。及川氏は、「我々は物づくりは得意だけど、企画やマーケティングは得意ではないので、アドバイスはとても参考になった」という。 また、ソウルオブ東北との連携によるもう一つの効果について、及川氏は「コーディネーター役として組合員の色々な意見をまとめてくれたのが活動の大きな原動力になった」と語る。組合員は元々ライバル企業同士でもあり、今まではほとんど連携もなかったという。「震災をきっかけに、お互い腹を割って話し合うには地域以外の第三者による調整機能が必要であった」と設立当時を振り返る。 「復興応援 キリン絆プロジェクト」と 「新しい東北」先導モデル事業による支援 組合員の6社は被災企業であり、活動に必要 な資金面の余裕はなかった。その中で資金面から活動を支援してくれたのが、「復興応援 キリン絆プロジェクト」と復興庁の「新しい東北」先導モデル事業であった。助成金は、三陸の新たな高付加価値商品の開発、ブランドの育成、新たな販路開拓などに活用した。及川氏は、「これらの支援がなければ、三陸パートナーズの活動はできなかった」という。 今後の課題と挑戦 ビジネスとして成長することで 地域活性化につなげる 今後、三陸パートナーズが克服すべき課題について及川氏は、事業を継続・成長させていくための「収益基盤の確立」であるとし、補助金に頼らず自立自走できるビジネスモデルの必要性を認識している。そのためにも、岩手の海・里・山の幸を活かし、消費者に作り手の顔が見える高付加価値商品をこだわりをもって開発・販売していきたいと考えており、現在花巻市の㈱里山パートナーズとも連携して新商品の開発を進めている。 また、事業が拡大した際には、より柔軟な商品開発と製造ができる自社工場を建設するのが目標である。今は各組合員の工場で分散して製造しているが、「自社工場ができれば、雇用も生まれ大船渡の活性化にも繋がる。工場では、若者や女性たちが明るく生き生きと働ける環境を整え、アイデア溢れる新商品を生み出していきたい」と意気込む。 「私たちが誇る三陸の海の幸をより多くの消費者に知ってもらい、本物の価値を届けたい。それが大船渡の誇りとなり新しい三陸の未来が生まれる」と及川氏は目を輝かせながら語った。 スモークサーモンに タプナードソースをのせて ジェノベーゼソースと合わせて 牡蠣の燻製 熊谷喜八 三陸の海の幸リゾット 【名 称】 協同組合三陸パートナーズ 【住 所】 岩手県大船渡市大船渡町字中港3-100 【代表者】 理事長 及川 廣章 【連 絡】 TEL:0192-27-1251/FAX:0192-26-4001 【 H P 】 http://sanrikupartners.com/ 【Service】 http://sanrikumarket.com/ 37

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