被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 広域連携によるベストプラクティスの共有 東北及び北関東のグループ会社を統括するみちのりHDの最大の強みは、グループ同士のベストプラクティスが共有出来ることだ。例えば、これまで傘下のグループ会社によってバラツキが生じていた車両修繕のコストに関して、その中の1社が持っていたコストと安全性が最適化できる工夫をグループ間で共有することで会社全体のコスト削減に成功している。 利用者のニーズ把握と最適化 みちのりHD傘下のバス会社では、アンケート等を通じて利用者視点に立ったマーケティングを行いニーズ把握に努めるとともに、学校と連携して定期券の販売を促進したり、自治体と共同で高齢者用のフリーパスを発行したりするなど、利用者へのサービスの改善を図っている。また、地域の足が失われないように配慮しながら観光ルートを回るバス路線と一般ルートを回るバス路線を一本化するなどの合理化を行うべく、ルートやダイヤの見直しを図っている。 タテ・ヨコの常駐協業(ハンズオン)支援 上記のベストプラクティスの共有を高めるためにみちのりHDが工夫しているのは、「縦串」と「横串」の経営体制だ(下表参照)。「縦串」とは、各グループ会社の統括としてみちのりホールディングスから送られる経営陣であり、「横串」とは、みちのりHDにおいて主にグループ間の横の連携を職責とする責任者だ。各グループ会社の経営陣がグループ間の横の連携まで見るのは困難という経営上の課題を踏まえ、横の連携を職責とする人材を配置することで、業務改善がより効率的・効果的に図られている。 会津バスでのルート見直しと効果 今後の課題と挑戦 【名 称】 株式会社みちのりホールディングス 【住 所】 東京都千代田区丸の内1-9-2 17F 【代表者】 代表取締役 松本 順 【連 絡】 TEL:03-4562-1520/FAX:03-4562-1100 【 H P 】 http://www.michinori.co.jp/ 【 E-mail 】 info@michinori.co.jp 生産性向上による地方経済活動への貢献 会津バスグループみちのりHD横串メンバー関東自動車グループ岩手県北バスグループ茨城交通グループ福島交通グループ経営陣経営陣経営陣経営陣プロパー社員との緊密なコミュニケーション経営陣安全対策(事故防止策の横展開、乗務員教育、内部監査制度の構築など)経営管理・ビジョン共有・営業企画旅行(新型企画の横展開、共同企画・海外インバウンド)高速バス(予約システムの改善、新路線企画)整備(整備基準のベンチマーキング・車両修繕費削減・燃費改善)共同購買(車両、IC、ドライブレコーダー、情報システムなど)乗合バス(路線活性化活動の横展開)オペレーション共有(人事制度改革、営業企画など)今後の課題と挑戦 松本氏は「少子高齢化による生産年齢人口の減少という問題が今後深刻化していく地方が生き残るための方法は、労働生産性を上げていくこと」と語る。この観点から、みちのりHDは、今後の挑戦としてマルチタスクの実現を掲げている。例えば、バスがヒトの輸送を行うだけではなく、規制上可能な範囲でモノも輸送したり、 乗客数が減る昼間の時間帯に、稼動が低下する運転手を活用し、地域インフラの点検業務などを受託したりすることを検討している。グループ全体においてこのような工夫を数多く行い職員の生産性を向上させることが、ビジネスとしてのサステナビリティを担保するだけでなく、労働人口の減少が特に顕著な地方経済活動に対する貢献になると考えている。 29

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