被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 販路と商品の共有で販売機会を拡大 震災前、4社は各社独自のバリューチェーンを持っていたが、震災後、4社は商品開発から購買、製造、販売まですべてのバリューチェーンを共有し連携を図っている。営業は4人全員で行うことで宮古の全ての魚種が取扱い可能であり、商品は業務用から消費者向けまで幅広く対応可能となる。さらに4社が持つ得意先に4社で売り込みを図ることで販売機会が増加した。 チームの全体最適を目指した バリューチェーン構築で売上増加に貢献 チーム漁火は人員やノウハウだけでなく加工・製造工程の連携も図る。震災前の各社の不採算商品は縮小し、チーム内で利益率の高い商品に注力する方針を掲げた。設備は重複しないように購入し、加工製造過程を連携することで 生産効率が向上した。 一例として、共和水産の丼商品(「三陸・宮古の真いかぶっかけ丼」など)は、一次加工品のイカの剥き身を佐幸商店が製造、共和水産が最終製品に加工し販売する。各社の生産計画では、チーム漁火全体で売れる商品を優先して生産する徹底ぶりだ。チーム全体最適を追求することで、各社の売上増加につながりWIN-WINの関係を築いている。 チーム漁火ブランドとしての商品販売も始める。共和水産の主力製品「いかそうめん」とかくりき商店の主力商品「潮うに」を使用し、「岩手県産うにいか」という新商品を開発。2014年12月に販売された。 今後の課題と挑戦 チーム漁火ブランドの確立 世界への販路開拓 アジアに向けた販路開拓として、キリン絆プロジェクトの支援の一環で2014年6月には台湾の食品見本市「フード台北」へ出展し、商談を成立させた。また、ベトナムでは日本酒が流行しており、酒のあてとして「うにいか」の出荷が決定した。「これからは海外への販売強化や、インターネットを使った消費者への直販など販路拡大に努めたい。将来的には、漁火ブランドを宮古全体の水産業のプラットフォームとして、宮古の商品を全国および世界に販売したい」と鈴木氏は語る。 稼動率の平準化により生産効率を向上 水産加工業は需要の変動だけでなく魚種による季節変動があるため平準化が困難と言われる。しかし、各社の繁忙期が異なるため、繁忙期の工場に他社の従業員が協力することで、チーム全体としての平準化が図られた。さらに協力する過程でお互いのノウハウも共有可能となったのだ。 【名 称】 宮古 チーム漁火 【住 所】 岩手県宮古市藤原二丁目3番7号 (共和水産株式会社藤原工場) 【代表者】 鈴木 良太 【連 絡】 TEL:0193-77-4625/FAX:0193-63-6686 【 メンバー 】 共和水産株式会社 代表取締役専務 鈴木 良太 有限会社かくりき商店 専務取締役 小堀内 将文 有限会社佐々京商店 代表取締役 佐々木 大介 株式会社佐幸商店 六代目 佐々木 博基 チーム漁火のスキーム概要 ウニ、鮭(イクラ)など 一次・最終加工 タラ、サンマなど 一次加工 鮭(イクラ)など 一次加工 イカなど 最終加工 共同営業・受注 共同企画開発 共和 佐々京 佐幸 販売 加工・製造・購買・人員を相互補完 かくりき 各社の得意分野へ業務の配賦 各社の業績は回復しているが、現在のところチーム漁火としての商品は「うにいか」だけである。今後目指すは各社の独自製品よりも高付加価値のブランド商品として「チーム漁火」ブランドを確立することだ。 漁火ブランドの商品アイ デアを実現する資金を確 保するためにも、まずは 「うにいか」をヒット商 品とすべく、販路拡大に 注力している。 21

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