被災地の元気企業 40
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成功事例 水産加工・食品製造業、宮古市 四人の若者が 水産業に 希望の火を灯す ビジョン ● アクションが漁火となり、人々の心を 引き寄せ、宮古の水産業を盛り上 げる ● 宮古の海の恵をブランド化する ● 宮古から世界へ挑戦する 代表 鈴木 良太 氏 (写真左から2番目) 宮古 チーム漁火の挑戦 宮古 チーム漁火 志が連携を超えた一致団結を生み売上回復を達成 「目指すのは、熱く大海を照らす漁火。我々のアクションが漁火となり、人々の心を引き寄せ、三陸の水産業を盛り上げる希望となりたい」宮古チーム漁火の代表で共和水産㈱専務の鈴木氏は想いを語る。 岩手県宮古市の水揚げ量は豊富で、一年を通じて多様な魚種が獲れる。そのため、これまでは鮮魚や冷凍商品を販売するだけで商売が成り立っていた。 しかし、震災前から国内の魚介類消費量は年々減少するなど厳しい市場環境にあって、水産業の人材不足も深刻化していた。そのため鮮魚を扱う従来型ビジネスモデルに限界を感じ、危機感を抱いていた4人の若者は、震災を契機に導かれるように連携を始めた。「宮古プライドにかけて水産業を盛り上げ、地域を背負って立つ」という共通の志で連携が始まった。 取り組み(事業内容) 各社の強みを生かした 大胆な連携により震災前の売上を回復 チーム代表の鈴木氏が専務を務める共和水産㈱以外の3社は津波で会社建物が全壊したが、3社の復旧に合わせて、同社の加工過程の一部を㈲かくりき商店に依頼した事が連携の始まりだった。グループ補助金等を活用して施設や設備を復旧する際は、各社で相互補完できるよう、個社ではなく全体最適を意識した設備投資を進めた。その後「宮古チーム漁火」の名称で活動が本格化するきっかけとなったのは、「復興応援 キリン絆プロジェクト」で水産加工ブランディングプロジェクトとして採択されたことである。これにより宮古ブランドを発信するための新商品開発を行う資金を獲得できた。 チーム漁火は共和水産㈱、㈲かくりき商店、㈲佐々京商店、㈱佐幸商店の若手リーダーによって結成された。各社の取扱い魚種や販 路など、いずれも得意分野が異なる(右ページの「チーム漁火のスキーム概要」参照)。さらにメンバー4人も、共和水産の鈴木氏が企画・開発・営業、かくりき商店の小堀内氏が財務・会計、佐々京商店の佐々木氏が購買(魚の目利き)、佐幸商店の佐々木氏が生産管理と独自の強みを持っている。4人は自社の強みだけでなく弱みも話し合える仲間であるため、各社の強みを生かし弱みを補完する関係が生まれた。その結果、チーム漁火の4社すべてが震災前の水準にまで業績が回復した。 20

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