被災地の元気企業 40
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コラム(事務局)「被災地の元気企業40」においては、被災地の創造的産業復興をリードする、もしくは今後その担い手になりうる事業者やその取り組みを掲載しているが、このほかにも制作過程において、いくつかのユニークな取り組みに接することができた。その一例をここに記載する。事業者の新たなチャレンジを支援する組織の取り組み原子力災害からの克服を目指す福島県内の事業者の取り組み東北経済産業局が2014年10月に公表した「グループ補助金交付先アンケート調査」によれば、震災直前の水準まで売上が回復した事業者は、その要因として、「新商品、新サービスの確保による新規顧客の確保」を挙げる割合が最多であった。被災地の創造的復興のためにも、既存の事業の枠組みに拘らず、事業者の新たなチャレンジをサポートする上記のような取り組みが各地に広がることを期待したい。新たなチャレンジが復興を加速する!農水産品の一次生産者と加工・流通・小売・飲食業者を結ぶネットワークを構築し、販路マッチングを推進する「みやぎ・食の流通ネットワーク」を運営している「㈲マイティー千葉重(仙台市)」は、大手企業や各分野の専門家とも連携しつつ、地元の優良な生産者や産品を、新たな商品開発や販路開拓へ繋げる取り組みにおいて成果を上げている。また、「(一社)ISHINOMAKI2.0(石巻市)」は、復興支援活動を行う企業やクリエイターと地域の人材・ネットワークを結び付け、石巻において新たな事業が立ち上がる場として機能しており、米国の家具メーカーの支援活動を契機に国内外のデザイナーも巻き込み、「石巻工房」という独自の家具ブランドが立ち上がるに至った例も見られる。福島県内では、原子力災害により事業所の退避を余儀なくされ、未だ事業を再開できない事業者も数多く存在する。こうした事業者の事業再開を後押しする取り組みとして、富岡町商工会の有志は、旧警戒区域であり震災の爪痕が残る富岡町内を視察するツアーを実施するほか、同町における建設・除染等の復興関連事業から生じる多様な物品・役務の調達窓口となり、各地に散らばる商工会員に業務を斡旋する受け皿として、「ふたば商工㈱(いわき市)」を立ち上げ、除染業者が使用する駐車場の警備を受注するなど、少しずつ実績を重ねている。一方、福島県酪農業協同組合が県内酪農の復興を目的に福島市内に設置する新たな農場を運営するため、避難休業中の酪農家5戸が共同して立ち上げた㈱フェリスラテは、2015年からの事業開始を目指して準備が進められており、事業の共同化により震災前より経営規模を拡大したことで、効率化と労働環境の改善を図り、新たな酪農事業のモデルとなることを目指している。119

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