被災地の元気企業 40
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事業者のビジョンに共感した支援者からアドバイスを受け、マーケットイン、ユーザーインの目線での商品開発を自社で行うことで、市場ニーズに合致した商品開発が進められている。事業者にとっては、単なる販路マッチングに留まらず、このように販路・マーケティングと商品開発を自社内で解決するノウハウ、スキルを得ることが中長期的な成長を実現する上で重要となる。 このほか、販路開拓・マーケティング、商品開発においては、大手企業等による復興支援の一環として、市場のニーズを捉え、それを商品開発に活かすためのノウハウやスキルを提供する場や、専門家等による販路開拓支援制度が支援団体等により提供されており、こうした場を積極的に活用することは課題解決のために有効と考えられる。 3-3.今後の支援の在り方についての考察 これまでに抽出・検討してきた事業者の抱える課題とその克服方法を踏まえ、今後の支援の在り方を考察する。 3-3-1.企業の中長期的課題の解決に向けた取り組みへの支援 特に震災により経営上大きな影響を受けた事業者は、目の前に顕在化した課題に対応するのが精一杯で、なかなかその次にくる中長期的課題を見据えた行動を起こすことが難しいことが支援機関等へのヒアリングにより指摘された。このため、例えば、新商品開発のほかビジネスモデルやバリューチェーンの見直し、他社との連携強化など、自社の事業が中長期的に成長・拡大するために非常に重要な課題に対する対応が遅れてしまい、結果的に成長速度を上げられない状況にもあるのではないかと考えられ、将来的な企業の成長に向けた支援が求められている。 こうした状況に陥ることを回避するために、例えば、足許では事業者が気づいていない経営上の課題を潜在的な支援ニーズとして捉え、企業経営に精通した専門家や支援者がいわば事業者に先回りする形で新たな取り組みの必要性を能動的に示し、その必要性を認識した事業者とともに課題解決を図るといった支援も、将来的に事業者が震災のダメージを克服し、自立的に事業を成長・拡大するためには有効と考えられる。 3-3-2.ノウハウ、スキルなどソフト面での支援の強化 掲載事業者においては、成長ステージの如何に関わらず、販路・マーケティング、商品開発に加え、組織的経営体制の構築を成長・拡大期における課題として挙げている事業者が多い。これらの経営課題に対する支援は、事業者の施設整備等ハード面に対する支援のみならず、ノウハウやスキルの向上を図るソフト面での支援が有効と考えられる。 こうしたソフト面での支援は、一般的に支援サイドにおいて事業者が提供する商品・サービスの市場ニーズや、事業の運営体制等の社内構造を適切に把握する必要があるために一定の時間を要する。またこうした課題への対応は、支援を行う側・受ける側の双方において、ある程度の期間にわたり相応の労力を要する一方、その効果が明らかになるのにも時間がかかること117

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