被災地の元気企業 40
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とが重要であるほか、事業化支援組織の協力を得て人材を紹介してもらい、紹介を受けた人材に対して事業のビジョンや事業構想を伝えられることも有効である。 ②事業者の克服方法 本事例に掲載されている、 ㈱TESS、会津電力㈱などでは、事業のアイデア、ビジョン、事業化への意志を周囲に伝え続けることで、ビジョンをブラッシュアップし、マネジメント、マーケティングなど事業に欠かせないパートナーの協力を取り付けることに成功している。 こうしたパートナー獲得に繋がる事業構想の発信の場として、会津電力㈱の場合は、一般社団法人ふくしま会議への参加が契機となっているほか、サメの街気仙沼構想推進協議会の場合は、復興庁「結の場」への参加により多くの有力企業の賛助を得ることに成功するなど、公的機関、事業化支援組織などが開催する会議の場を契機として情報発信の機会を広げている。 なお、みらい食の研究所、サメの街気仙沼構想推進協議会などでは、地域や業種を同じくする事業者間の自発的な活動の中で協力体制を組むことに成功しており、この際地域の金融機関が触媒的役割を果たした例もある。震災以前には地元の同業者と事業内容に関して協力体制を構築する機会はほとんど無かった例も多いが、今後、同じような課題を抱える地元同業者が課題解決に向け連携した取組を進めていくためには、このような地元同業者間での将来に向けたビジョンを共有し、パートナーシップの構築を促すような仕掛けを作ることが有効と考えられる。 (3)資金調達 ①課題の背景 震災後に新たに事業を立ち上げた事業者にとっては、事業立ち上げ資金の調達は最重要な課題であったことが掲載事例からも明らかである。公的支援制度の活用、キリングループや三菱商事復興支援財団などの大手企業との連携、地域金融機関の支援などの多くの支援を活用して乗り切る事例は多いが、クラウドファンディングなどの新たな資金調達手段を活用する例も徐々に見られている。 外部からの資金調達支援を取り付けるためには、資金提供者やその仲介者に対して、事業者が将来に対する事業構想を提示し、資金計画とアクションプラン(=資金使途とそれにより見込まれる成果)も含む事業計画をしっかりと準備する必要があり、事業化支援を行う専門家やパートナーと協力し合いながら、事業構想のブラッシュアップを行うことが重要となる。 ②事業者の克服方法 震災後に起業した釜石ヒカリフーズ㈱のように、被災事業者の復興に関する公的支援の対象とはならなかった場合でも、事業構想がしっかりと練り上げられていたことで、事業構想や事業計画に将来性を見た東北共益投資基金やカタールフレンド基金からの支援を結果として得ることができている事例もある。また、(一社)MAKOTOが運営するクラウドファンディングの「チャレンジスター」を活用し、事業者の想いに共感し、事業構想・事業計画の将来性に期待を抱いた支援者からの資金調達に成功した特定非営利活動法人東北開墾のような事例もある。このよう114

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