被災地の元気企業 40
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3-2.成長ステージ別の課題に対する事業者の克服方法 前述の掲載事業者の克服した課題と現在/将来に克服しなければならない課題の整理を踏まえ、各課題に対して、事業者がどの様な取組を行っており、また、どの様な支援を活用しているのか、どの様な支援が課題に直面したときに必要と考えられたのかについて抽出・検討を行う。 3-2-1.立ち上げ期の課題 (1)ビジョンの具体化 ①課題の背景 新たな事業の立ち上げには、多くの賛同者・協力者、必要な経営機能を支援する専門家などの巻き込み、外部の支援の呼び込みが必要であることは掲載事例からも明らかとなっている。賛同者や外部人材の巻き込み、外部支援の呼び込みを行うためには、事業のビジョンを具体化し、事業者の志や思い描く理想像だけでなく、その事業構想にも共感してもらうことが必要である。 ビジョンや事業構想に対して共感を得るためには、ビジョンをアイデアレベルのものから他者に説明し共感を得られるレベルのものに事業者が明確に思い描き、ブラッシュアップしていくことが必要である。このためには、事業者が多くの協力者やメンターと出会い、ビジョンの不足点の指摘を受け、ブラッシュアップする機会を自ら持つことが有効となっている。また、そのような気づきの機会を設けることは、支援機関や支援団体の支援策として有用である。 ②事業者の克服方法 本事例に掲載されている、㈱海楽荘における取組では、ビジョンや事業構想のブラッシュアップ機会として、東北未来創造イニシアティブが支援した人材育成道場への参加や地域住民を前にした事業構想などの発表の機会を得ることで、自らビジョンの具体化、事業構想の練り上げを行い、賛同者・協力者、専門家などの巻き込み、外部の支援の呼び込みを行っている。 この他、きぼうのたねカンパニー㈱は東北未来創造イニシアティブが内閣府の復興支援型地域社会雇用創造事業として実施したインキュベーションプログラムを通じて起業している。(一社)りぷらすも、内閣府の復興支援型地域社会雇用創造事業でのNPO法人ETIC.のメンターや、(一社)MAKOTOのアドバイスを受け、事業構想の磨き上げを行っている。また、㈱IIEは福島大学うつくしまふくしま未来支援センターに事務局を置く「ふくしま復興塾」に参加することで事業構想の具体化を図っている。 (2)パートナーの獲得 ①課題の背景 起業や新規事業の立ち上げにあたり、事業者は自社内では対応できない経験や専門知識を有する人材や、事業内容に共感し、一緒に取り組む仲間を得ることで事業化に踏み切ることが掲載事例からも多く見られた。 これらパートナーを得るためには、まずは事業者自らが真剣にパートナー候補を探し回るこ113

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