被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 10年後に福島県内の電力をすべて 再生可能エネルギーでまかなう体制に 会津電力は、今後の目標として、5年後には8,000世帯分の電力を、10年後には福島県内の電力をすべて再生可能エネルギーで供給することを目指している。 太陽光については、休耕田を利用したソーラー発電所を建設するなど、2015年秋までに会津地方の20カ所でソーラー発電を計画している。 会津電力では、今後は太陽光だけでなく、会津地域の豊かな自然を活かした小水力発電や木質バイオマス発電なども手がけていく計画だ。 また、東京電力が福島県内に保有する大規模水力発電の所有権を取得し、原子力発電5基に相当するおよそ500万キロワットの電力供給の実現を目指している。 これからは地域の資源を利用した多様な地域分散型エネルギーを消費者が選ぶ時代が来ると 【名 称】 会津電力株式会社 【住 所】 福島県喜多方市字天満前8845-3 【代表者】 代表取締役 佐藤 彌右衛門 【連 絡】 TEL:0241-23-2500/FAX:0241-23-2555 【 H P 】 http://aipower.co.jp/ 【 E-mail 】 aipower@aipower.co.jp 30度の急傾斜で地面から2.5メートルの高さに設置された太陽光パネル 会津電力には、20代から70代まで多彩なメンバーがそろう。佐藤氏は電力の専門家ではないが、佐藤氏の「自然エネルギーで地域の自立を目指す」という強い思いが多くの人を惹きつけ、多彩なメンバーを巻き込むことに成功している。佐藤氏は震災後に発足した新しい福島の未来を創ることを目的とした(一社)ふくしま会議に参加し、自らと共通した想いを持った人たちが数多くいることに気付いた。その後ふくしま会議での多くの議論をもとに、再生可能エネルギーの積極的な利用と普及啓蒙を目的にした一般社団法人会津自然エネルギー機構が設立され、同機構のアイデアを具体的に実現するために会津電力が設立された。 常務の折笠哲也氏も佐藤氏の思いに共感した一人だ。原発事故が起きた際は会津で飲食店を営んでいたが、事故後に自分にできることは何かと考え、全くの異業種だった太陽光発電設備の施工販売事業を始めた。その後2012年末に佐l これまで、雪深い地域での太陽光発電は、ソーラーパネルに雪が積もると発電ができないため、他の地域と比べて不利になるとされていた。これに対し会津電力では、積雪の原因となる太陽光パネルのフレームの段差をなくして雪を落ちやすくしたほか通常は日影の影響等を考慮し10度程度の傾斜でパネルを設置することが通常であるが、30度の急傾斜にした。さらに、積雪対策のため地面から2.5メートルの高さに設置している。 これらの雪国独自の工夫は、常務の折笠氏によって編み出され、度重なる実証テストの末に実現したものである。 ビジョンへの共感により、 多彩なメンバー、運営資金が集まる 雪国に対応した特別仕様の太陽光発電 システムの導入 藤氏らに出会い、共に歩いていこうと決めた。現在は会津電力の実務面を担っている。 また発電設備の導入に要する資金調達においては、各地の市民参加型発電プロジェクトに関するクラウドファンディング事業を行う㈱自然エネルギー市民ファンドの協力の下、1口20万円でおよそ1億円の出資を会津電力のビジョンに共感した市民から募り、地元金融機関からの融資と合わせ総事業費約4億5千万円を集めた。 佐藤氏は考えている。緑色はバイオマス、赤色は地熱、水色は風力、オレンジ色は太陽光、青色は水力、5色の会社のロゴマークにはそのような思いが込められている。会津電力の挑戦は始まったばかりだ。 (さとう やうえもん) 105

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