被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 産学官連携による共同開発で 理論の実用化につなげる アイザックは、「移乗・移動ロボット」の試作機を初期段階から会津中央病院等への医療現場に持ち込み、実証実験やデータ収集を重ねてきた。医療現場からは、小型化、移乗の容易さ、乗車時の安心感等のニーズが出され、これらのニーズや医学的知見を自社の開発に活用している。本当に「使えるもの」「役に立つもの」を開発するとの強い信念から、医療現場での生の声を尊重し、医療・介護ロボットとして最も重要な安全面に徹底してこだわって開発を進めている。医療現場の利用者からのフィードバックはロボット開発の大きな力となっている。 一方、ロボット技術では、提携するテムザックの製造ノウハウとアイザックのシステム開発技術を融合させることにより研究・開発を進めている。医療機関やロボットビジネスのパイオニアとの協力関係を築くことで多角的な視点から研究開発が可能となっている。他にも複数の大学と連携することで、新たなロボットの実用化に取り組んでいる。 ふくしま医療福祉機器開発事業補助金 を受けて研究開発 福島県では、「医療関連産業の集積」を復興計画の重点プロジェクトのひとつに位置づけており、医療福祉機器の研究開発ならびに実証試験に取り組む企業を支援する「ふくしま医療福祉機器開発事業費補助金」がある。アイザックは「移乗・移動ロボット」の開発で、この補助金の採択を受けたことにより、研究開発に要する資金的な負担を軽減しつつ、ロボット開発・実用化に関する事業展開を進めている。 【名 称】 株式会社アイザック 【住 所】 福島県会津若松市行仁町9-28 【代表者】 代表取締役 馬場 優子 【連 絡】 TEL:0242-85-8590/FAX:0242-85-8591 【 H P 】 http://www.aizuk.jp/ ロボットにできることは無限大、 新しいものを生みだしていく 人口の減少や高齢化が進む今後の日本社会において、「人手不足を補う」、「重労働の負担を軽減する」、「危険な作業を代行する」等、ロボットに期待されることは数多い。しかし、ロボット関連の新規分野には統一された品質規格がなく、安全性をいかに検証し担保するかなど、製品化までの道のりは平坦ではない。このため開発にあたっては、共同研究機関において試作機の評価を受ける一方、現場からのフィードバックを重視している。アイザックはこれまでにない新しいものを生み出す開発型の企業として全く新しいロボットの開発に挑戦して行く。 会津でロボットを量産し、復興を牽引する 「『自分もロボット開発で人の役に立つものを創りたい』『ロボットビジネスに挑戦した い』という若い人材が会津に集まるようになることがこと目標」と馬場氏は語る。 会津を中心として東北でロボットの一貫した生産・量産化ができるようになれば、関連産業にも経済効果が波及し地域が活性化して復興が加速することは間違いない。 アイザックは東北発のロボット開発会社として復興の牽引役となる。 アイザック関係者相関図 今後の課題と挑戦 101

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