被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント TOMARERUの開始にあたり課題となったのが、旅館業法であった。同法では、宿泊料を受け取り空室を貸す契約を結ぶ場合は、フロントを設置するなどの条件を満たす必要があり、同サービスの展開において厳しいハードルとなっていた。そこで、百戦錬磨は旅館業法適用外となるための枠組みを内閣府に提案するなど積極的に訴えた。その結果、政府の成長戦略に位置づけられる「国家戦略特別区域法」に基づき旅館業法の適用除外が一定の条件で認められた。関係者全てにとってメリットとなる方策を考え、最善の提案を行うという百戦錬磨の挑戦によって課題の克服につながった。 そこで工夫しているのは、①地元の協力者を探し、一緒に行動すること ②地域を良くしたいという思いを伝え共感を得ること ③理解が 得られるよう我慢強く、丁寧に説明していくことの3点だ。「地元の人たちの思いを最大限尊重し、信頼を得た上で協力関係を結ぶことが重要である」と上山氏は語る。 サービス提供に向けた規制への挑戦 地元の人材を育成していく 百戦錬磨のサービス展開にはWeb技術者が必要である。これまで、東京や東北で採用活動を実施したが、東京ではWeb技術者の供給が不足し、さらに東北では十分な経験と能力を持った技術者自体がおらず、人材確保の課題に直面した。 そこで、百戦錬磨では自ら人材を育成すべく、東北で活躍できるITエンジニアの育成事業を仙台市から受託している。地元の雇用にも貢献するという方策を考え取り組んだことがポイントとなった。 今後の課題と挑戦 サービス展開地域の拡大と株式公開 TOMARERU、とまりーなのサービス展開地域を、東北からスタートし、次いで民泊の先進地域である沖縄に拡大した上で、順次、全国へと展開させていくことが百戦錬磨の直近の目標だ。今後はメディアへの掲載や他企業と協力したキャンペーン等を通じてさらに登録数を増やしていくとともに、Webマーケティングにも力を入れ、サービスの向上を図っていく。 また、上山氏が意識しているのは「掛け算」の経営だ。ビジネス拡大に向けて必要な要素であるヒト・情報・カネをうまく掛け合わせることができれば高い相乗効果と急成長が見込まれる。この掛け算を確かなものにしていくため百選練磨は、自社での人材育成(ヒト)とICTを活 一方、とまりーなを展開する上で必要不可欠なのが、宿泊先となる農村地域に居住する住民の協力だ。しかし、ICTを通じたマッチングサービスという比較的新しいサービスは、地方の農 地元の住民から信頼を得るための、 根気強い対話と理解促進 用したマッチングサービスの提供(情報)に加えて、株式公開による大規模な資金調達(カネ)が次なる課題と考え、それぞれの達成に向け取り組み始めている。「明確な目標を持つことが成長のためには重要である」と上山氏は考えている。 「とまりーな」を通じて宿泊施設を 提供している方々 漁村地域の住民には簡単には受け入れられない。そこで、百戦錬磨では、とまりーなへの理解と参加を促すため、住民との対話を重視し、1ヶ月程度かけてじっくりと丁寧に協力要請を行っている。 【名 称】 株式会社百戦錬磨 【住 所】 宮城県仙台市青葉区本町2-17-17 【代表者】 代表取締役 上山 康博 【連 絡】 TEL : 022-797-2590 【 H P 】 http://www.hyakuren.org/ 99

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