被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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85 平塚社長'中央(と社員の皆さん 事例2-11 地域内サプライチェーンで水産加工業を再興する! 宮城県石巻市 1.地域内OEMによる水産加工サプライチェーンの構築と高度化 2.地域企業との協業 3.石巻漁港高度化と課題 山徳平塚水産株式会社 2009年設立,従業員数11人'2013年11月現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 石巻市の山徳平塚水産㈱は、ねり製品やサバ加工品の製造・販売を営んでいる創業80年の企業である。震災による津波では工場と社員1名の尊い命を失った。2013年8月に自社工場が再開し、現在はOEMと自社工場での生産体制を敶いている。当社の平塚隆一郎社長は石巻水産復興会議「将来構想ワーキンググループ(WG)」の代表も務め、石巻の水産加工業を新しいかたちで復興させるために、地域の要として活躍している。また、復興庁主催の「結の場」に参加し、新たな販路開拓にも積極的に取り組んでいる。 '2(バックグランド'背景( 石巻漁港の漁獲高は1987年をピークに減尐し続けており、震災前の2010年でも漁獲高は往時の1/3に縮小していた。水産業従事者も4000人を割っており、減尐傾向は震災前から一貫して続いていた。それでも石巻が日本第3位の漁港として売上を誇っていたのは、豊富な魚種と冷凍設備や水産加工施設が集積していたためである。 しかし、東日本大震災で状況は一変した。ほとんどの冷凍設備や加工設備が津波で流失、漁港も壊滅的な被害を受け、水産加工会社の経営基盤は全て失われた。従来、減価償却を終えた設備を使用し、薄利多売でなんとかつないできた石巻の水産加工業は、新たな設備投資を前に全く新しいビジネスモデルの模索を迫られた。 平塚社長は、魚の廃棄処理や工場の復旧作業に追われる日々の傍らで、同じ意識を持った若手経営者と語らい、石巻水産復興会議「将来構想WG」を立ち上げた。石巻を元のように戻してもじり貧であると考え、身の丈にあった設備投資と高付加価値経営による持続的な事業環境を構築することを目指して動き出した。 展望本格実施準備構想・計画自社工場流出3.11約200社へのアンケート調査OEMを活用した水産加工業のApple化石巻水産加工実態把握石巻漁港高度化事業高度衛生化石巻の水産サプライチェーンの構築ITCによる高度情報化石巻にとっての新しい市場開拓データベース化県外への委託生産地域内企業へのOEM地域内企業に関する実態把握の必要性B to Bビジネスの展開品質管理の徹底課題課題への対応地域企業との協業「元気復興いしのまき」ブランドの立ち上げ共同販売事業「選りすぐりキット」

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