被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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81 復旧後の当社製材所の外観 1.関係者が共感できるコンセプトや理念の構築 2.常日頃のネットワーク作りと1社単独ではなく思いを共有する組織や他社との連携 有限会社マルヒ製材 1989年設立、従業員数18人'2014年1月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 久慈市の㈲マルヒ製材は震災後、木材を活用した仮設住宅の建設に奮闘した会社である。1957年、久慈市湊町で日當(ひなた)製材所として個人創業し、当初はリンゴ箱用の製击材(せいかんざい)が主体だったが70年から住宅資材の生産を開始。89年に有限会社マルヒ製材に組織変更し、プレカット加工による高品質・高精度な住宅用資材を供給してきた。 津波により当社の倉庫や事業所は全壊し、建物、機材、資材関係の被害総額は約2億5000万円に及び、再建と廃業のはざまで揺れた。しかし、幸いにも、顧客等の営業データを復元できたこと、プレカット加工施設が無事であったこと、そして、「借金してもやる」という日當社長の迅速な決断が再興への思いを奮い立たせた。 '2(バックグランド'背景( 震災翌朝から同業者からの支援を受け、がれき処理は猛烈な勢いで進め、わずか約2ヶ月で中古の製材機械を購入し製材を再開。震災後2年で、ようやく震災前の機能を回復し、生産能力も元に戻った。設備面の復旧では、林野庁の木材供給等緊急対策事業や経済産業省の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)」を活用。日當専務は「復旧・復興に各種補助事業を活用できたことが資金的にもハードルを下げることができ、申請段階から行政の支援と協力を得られたことが大きかった」と振り返る。 しかし、設備面の復旧は実現できたが、住宅用資材は、依然として輸入材との厳しいコスト競争に晒されており、厳しい事業環境にあることに変わりはなかった。震災前よりこの輸入材との差別化を図るため着目していたのが地元材の活用である。 地元材の低コスト化自動化倉庫業者との連携カビ防止技術の確立流通改革地元材の低リスク化輸入材との競争地元材の活用を検討新たな価値創造新製品開発木青連からの情報・支援供給木造仮設住宅の建設地元企業の協力'同業他社(住宅建設のコンセプトを共有展望本格実施準備構想・計画3.11ネットワーク作り課題課題への対応事例1-1 地元企業が一致団結~地元材をもっと世の中へ~ 岩手県久慈市

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