被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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79 事例2-16 外食産業における流通イノベーション! 宮城県仙台市 1.買付け・仕入れから加工・配送までの自社一環システムの構築 2.「範囲の経済」を活かした経営スタイル 株式会社エムケーコーポレーション 1987年創立、従業員数500人'2013年11月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 仙台市の㈱エムケーコーポレーションは、宮城県を中心に活魚、鮮魚をウリとする居酒屋とホテル(活魚の宿)を運営する会社である。2003年に「浜の漁師居酒屋 こちら○特漁業部)」を開店させた後、店舗数を11店舗にまで拡大させ、売上を順調に拡大している。○特漁業部は、「活魚を日本一安くお客様に提供する」というコンセプトの下、高品質な魚介料理をお値打ち価格で提供。それを可能にするのが当社の流通システムである。原料の買付け・仕入れから加工・配送までの一環システムを構築し、流通システムを徹底的に効率化させている。通常では単品原価率50~60%と言われる利幅の小さい活魚や鮮魚の刺身でも十分に利益をあげる仕組みが構築されている。 '2(バックグランド'背景( 当社は1987年の創業で、もともとは弁当、惣菜販売を手がけていた。90年に外食産業に参入し、97年には○特漁業部の前身になる海鮮居酒屋「海鮮問屋 七輪亭」を開業するが、それ以来、当社は魚介の仕入れを強化するための仕組みづくりに力を注いできた。当社代表取締役の松原茂氏は「縁あって居酒屋の経営に携わったが、近い将来に価格競争の時代がやってくると感じていた。価格競争に晒された弁当事業での苦い経験から、競争に打ち勝つには仕入れ工程にまで踏み込む必要性を感じていた」と当時を振り返る。 松原社長は1996年から冷凍魚卸売業務を開始し、買付けの経験と実績を積んだ。その後、業務体制の強化、拡大を目的に、2002年に雄勝港、2004年に塩釜湾の魚市場の買参権(生産者が市場に水揚げした魚介類を、卸売人を通じて購入する権利)を取得。従来、買参権の取得には、一定の資格(法令資格、実績、保証金など)が求められる他、展望本格実施外食産業における低価格競争流通コストの削減買参権の取得良い商品を安く提供する仕組み作り設備能力の増強卸売事業の拡大良いモノを安く提供する仕組み作りの必要性居酒屋店舗数の拡大課題課題への対応準備構想・計画3.11新商品開発食材と商品提案のセット売り自前の加工場・冷凍倉庫等を整備買付けの経験自ら買付け・仕入れする必要性を認識原料の大量購入・先買い自前の加工場・冷凍倉庫の拡張原料魚原料業者加工業者荷受業者仲卸業者魚屋エムケーコーポレーション加工場・冷凍倉庫無解凍解凍・加工お客様'量販店・小売店、ホテル等(直営店舗個人宅配【従来型流通システム】【当社の流通システム】

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