被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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65 事例3-6 産学官連携の高度化を陰で支える会社~ゆめサポート南相馬の挑戦~ 福島県南相馬市 1.協議会の設立による開発力の強化と共同受注に向けた取り組み 2.技術ノウハウを持ち寄り新技術・新製品の開発に挑戦 株式会社ゆめサポート南相馬 2006年設立、従業員数8人'2013年12月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 南相馬市の㈱ゆめサポート南相馬は、市内の既存企業の振興と創造的な新産業の創造を図るため、第三セクターによる企業支援組織として2006年に設立した。それ以来、市内企業向けの経営相談業務、創業起業支援、ビジネスマッチング等を手掛ける他、新規事業創出を目的とする産学官連携事業のコーディネート機能を担ってきた。 福島県は東京に本社を構える大手メーカーの工場が多数立地しており、東北地域の中で製造品出荷額が最も高い。しかし、山形の米沢地域のように活発な域内進出企業間の交流が地場企業の技術力の向上に繋がっている地域とは異なり、福島は進出企業間の交流が尐なく、地場企業の技術力の底上げが課題として指摘されてきた。当社は、2006年に機械金属加工を手掛ける南相馬市内の地場企業33社とともに「南相馬機械工業振興協議会」を立ち上げ、企業連携による技術力の向上と新産業の創出に向けた取り組みを開始した。当社の松本克己所長は「これまでは金属加工業者間の横の連携は尐なかったが、連携すれば加工業務の幅も広がり、大手企業からの大型受注に繋げられる」と設立の狙いについて語っている。それ以来、大手企業への視察研修や医療関連の展示会への共同出展、加工技術の高度化を目的とする「相双技塾」等の取り組みを重ねながら企業間ネットワークの構築に積極的に取り組んできた。 '2(バックグランド'背景( しかし、津波と原発事故によって南相馬地域の地場企業は一時避難を余儀なくされ、操業停止に追い込まれた。復旧を果たしたものの、売上は回復せず、慢性的な産業人材の不足に陥った。そこで減尐した工業生産を回復させるために、2011年12月に市外の企業も含め42社から成る「南相馬ロボット産業協議会」が新たに設立。機械工業振興協議会と同様の狙いがあったが、新技術や新商品の開発を力点が置かれた。機械金属加工企業に加え、エレクトロニクスやIT・通信分野等の製造業者と大学・研究機関を新たに迎えた。「地場企業は規模の小域内製造業の仕事量の減尐課題課題への対応ロボット分野への注力製品開発地元製造業の活性化域内製造業の技術力の向上技術ノウハウの共有大型受注の必要性機械工業振興協議会の設立「足こぎ車いす改良プロジェクト」の組成会員企業による最終製品の開発大学との連携ロボット産業協議会の設立危機感の共有地場企業間の横連携の必要性展望本格実施準備構想・計画3.11技術の高度化支援展示会への共同出展共同開発協議会の運営の舵取り役を担う 松本克己所長と佐藤通則氏

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