被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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57 事例3-17 間伐材を活用した高級杉割り箸で林業と地域を再生! 福島県いわき市 1.杉間伐材を利用した高付加価値戦略 2.地元で原料調達、加工、製造、商品企画、デザイン、販売を一貫して実施、事業化 3.川下から林業を建て直す 株式会社磐城高箸 2010年設立、従業員数5人'2014年2月現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( いわき市勿来の㈱磐城高箸は、市内の杉間伐材を使用して、割箸を製造・販売している会社である。当社が「復興の架け橋となり、自然豊かな東北の地が、再び人々の希望を実らせる場所となりますように」との思いを込めて企画・製造・販売している「希望のかけ箸」は、いわき市の磐城杉、岩手県陸前高田市の気仙杉、宮城県栗原市の栗駒杉の間伐材を使用した高級杉割箸の3本セットで、売上500円のうち150円が義援金としてそれぞれの自治体に寄付される。これまでに6000セット以上売り上げており、2013年にはグッドデザイン賞を受賞、全国間伐・間伐材利用コンクールにおいて間伐推進中央協議会会長賞を受賞、2014年2月には「ソーシャルプロダクツアワード2014」を受賞している。 '2(バックグランド'背景( 当社の高橋代表取締役社長は、縁があって2010年春頃からいわき市の山林の管理に関わることになり、林業衰退の実情に接して大変なショックを受けた。間伐材の丸太には値が付かず、山主が管理しなくなり、森林が荒廃するに任せるような状態であった。山を維持するためには間伐材の価格付けが一番大切であると考えた高橋社長は、付加価値の高い製品を、地域で一貫製造し、直接販売することを事業戦略とした。 高橋社長は、たまたま書店で手にした森林ジャーナリスト・田中淳夫氏の著書「割り箸はもったいない?」を読み、感銘を覚えるとともに、割箸を製品とした場合は1㎥あたりの単価が製材の何倍にもなることに気づく。高橋社長は早速、田中氏にメールでコンタクトを取って講演会などにも参加した。同氏との交流を深め、割り箸は日本が展望本格実施杉間伐材の高付加価値化事業化地域の林業家の協力割箸の製造イート・イーストにデザイン協力直接販売の販路開拓ノベルティグッズの引き合い増加森林ジャーナリスト田中氏との出会い地元への内職発注杉精油'アロマオイル(の開発課題課題への対応準備構想・計画3.11杉割箸のマーケティングデザイン力の向上福祉作業所との連携福島県ハイテクプラザの事業化支援創意工夫で設備の低コスト化磐城杉のブランド化林業の再生持続的な事業の展開による川下からの建て直し「希望のかけ箸」

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