被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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17 事例2-5 産業用無人ヘリコプターで農業の生産性を飛躍的に向上 宮城県大崎市 1.農業の生産性を向上させるイノベーションを実現する 2.時代のニーズの先取りを考えて行動し、革新し続ける 小泉商事株式会社 1968年設立'1892年創業(、従業員数150人'2014年1月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 大崎市の小泉商事㈱は、1928年に農薬の販売を開始して以来、地域密着型の営業活動を通じて、様々な農業用薬品・資材を供給し、東北地域の農業生産技術の向上に貢献してきた。特に、有人ヘリコプターによる水稲への農薬散布が大半を占めていた1989年に他社に先駆けて、有人ヘリでは農薬散布に制限のある水稲(学校や病院、家屋等が周辺にある水稲)に小回りが利き農薬の飛散が尐ない無人ヘリによる請負散布を決断。それ以来、東北地域の米作り現場において作業の省力化及びコスト削減を図り、ユーザーから高い評価を受けている。 '2(バックグランド'背景( 海外の安い農作物との競争や農家の高齢化、後継者不足といった農業を取り巻く環境は年々厳しさを増している。設立以来、当社の鈴木郁夫社長は、「どのようにすれば農業の生産コストを下げられるか」を徹底的に考え提案することを大事にしてきた。病害虫から作物を守るために使用される農薬散布は米作りに欠かせない作業であるが、従来、手作業で行われていたため大きな労力が必要とされてきた。かつて広大な農地にセスナから農薬散布する欧米の現場を視察していた鈴木社長は、へリによる空中からの農薬散布、中でも無人ヘリによる農薬散布に着目した。平均して農家1戸当たり2ha未満の農地面積しかない日本では、有人ヘリは使い勝手が悪く、無人ヘリが適していると考えたのだ。1989年に農林水産航空協会の現地実証事業でヤマハ発動機が開発した無人ヘリと出会ったことから実用化を決断。実用化してから十数年間は販売不振で赤字続きであったが、有人ヘリに比べてきめ細かい散布を可能とする小回りの良さと安全性が評価され、徐々に事業を拡大していった。 当社は、無人ヘリによる農薬散布事業と並行して、農業現場のコスト削減に貢献するオリジナルの新商品開発に幾度となくチャレンジしてきた。2006年頃に開始した「鉄粉コーティング」した種籾の直播事業はその成果の一つ。水稲直播栽培は、通常の稲作全体の作業コストのうち約2割を占める「苗代で苗を育てて水田に植えるまで農業の生産性向上課題課題への対応「無人へり」による農薬散布事業の実用化「無人ヘリ」による除草剤散布失ったシェアの回復直播栽培の事業化事業拡大無人ヘリによる農薬散布を考案直播栽培に注目現地実証事業農研機構から技術供与無人ヘリの活用鉄粉コーティング技術の実用化海外展開用途開発展望本格実施準備構想・計画「無人ヘリ」による放射線量の測定3.11直播事業の拡大無人ヘリによる農薬散布

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