被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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7 ② 新商品・新サービスの開発や新規事業の創造に対応したケース 既存事業の拡大以外にも、差別化された新商品を開発し、新たな市場を創造することは多くの企業に共通した課題である。特に、既存事業における売上の減尐に直面している被災地企業にとっては喫緊の課題である。新商品開発には単独で取り組むケースもあるが(対応策2-1)、多くの事例では大学や外部企業との連携を通じて新たな商品開発を行っている(対応策2-2、対応策2-3)。このうち、外部企業との共同開発では、一次加工、二次加工を手掛ける水産加工会社が消費者ニーズを把握する流通・小売企業や外食業と連携して商品開発に成功している事例が多い。徹底した消費者ニーズの掘り起こしこそが新商品開発を成功に導くのである。また、新たな設備の導入によって新商品の開発に至ったケースも見られる(対応策2-4)。 他方、新商品開発に留まらず、震災を契機に既存の事業モデルを大きく変えたケースもある。その一つの背景には、津波より生産設備や資材が全て流され、ゼロベースで事業モデルを再構築しなければならなかったという厳しい現実に直面したことが挙げられる。被災地では震災をきっかけに新しい水産業モデルの構築に挑戦するケースや地域内サプライチェーンを再構築する取り組みが進められている(対応策2-5)。 また、業界内の常識にとらわれず、大胆な発想で顧客も商品・サービスも新しいビジネス領域への進出し、事業化を図る取り組みも多い。その中には、漁船を広告媒体した支援スキームを構築した事例、部品メーカーが自社の技術的強みを生かして、スイーツや機能性野菜の製造販売事業に進出した事例がある(対応策2-6)。 ② 新商品・新サービスの開発や新規事業の創造に対応したケース 対応策2-1 単独開発に取り組む 杉間伐材を利用し、高級杉割り箸を開発 3-17 間伐材を活用した高級杉割り箸で林業と地域を再生!'磐城高箸( 消費者接点となる現場情報を徹底して収集し、商品開発にフルに活用する 3-19 徹底した現場情報を活用した商品開発力 'ハニーズ( ※重複事例※ 地元の新米品種を活かして復興の目玉商品を開発 1-10 被災直後の「サポーター募集」を契機に通販事業へ進出!'ナカショク( 加工ノウハウを有する水産資源に特化した新商品を開発 1-12 経営の合理化と商品高付加価値へのシフト '井戸商店( 顧客への直接ヒアリングとコア技術の横展開によって新商品開発を実現 1-14 下請脱却の挑戦~「B to B」から「B to C」gへ~'石村工業( 高度化を進めた織物技術の応用展開を通じて世界一軽い絹織物を開発 3-5 伝統産業を極め、世界一の技術で新たな需要を開拓!'斎栄織物( 対応策2-2 産学官連携による共同開発に取り組む 岩手大学との共同研究によって魚本来の味を活かした「ハーブ干物」を開発 1-2 岩手大学と連携~ハーブで三陸の海の幸の旨さ、そのままに~'北三陸天然市場( 産官学連携でマーケット密着の商品開発に挑戦 1-8 マーケット密着のものづくり~大学発ベンチャー企業の挑戦~'アイカムス・ラボ( 会員企業間で技術ノウハウを共有し、新技術・新製品の開発に挑戦 3-6 産学官連携の高度化を陰で支える会社~ゆめサポート南相馬の挑戦~'ゆめサポート南相馬( 公的技術支援機関の協力のもと失われかけた釉薬を再現 3-8 存続の危機に立たされた伝統工芸の復活 '大堀相馬焼協同組合( ※重複事例※ 大学とのマッチング支援制度を活用し、地域特性を活かした新商品を開発 2-2 「ふかひれスープ」への徹底した原点回帰 '気仙沼ほてい( 大学の技術シーズと社員の情熱が融合し、斬新な新商品を開発 2-13 現場主義を重視する経営スタイル'弘進ゴム(

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