被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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119 事例1-11 水産加工業における事業再建のモデルケース 岩手県釜石市・大槌町 1.早期の事業継続判断 2.中小企業診断士や金融機関等との連携・支援の下、条件面で有利な資金を調達し復興 3.早期の復興により、新規顧客を獲得 株式会社伊藤商店 1935年創立、従業員数30人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 釜石市(現在は大槌町の冷凍工場に本社機能を移転)の㈱伊藤商店は、水産物の冷凍加工や冷蔵保管等を手掛ける水産加工業者である。震災前、当社は釜石市内と大槌町内に加工工場、冷蔵庫、倉庫等7施設を有していたが、全て被災した。当社は復興に向けて、伊藤治郎常務が中心となって工場等の片付けを始めるとともに、伊藤三郎部長は資金調達のため事業計画の策定に取り掛かった。 '2(バックグランド'背景( 当社は、1935年の伊藤常務らの祖父の創業から続く当社の看板を守りたいという強い思いから、震災直後の2011年3月の時点で事業継続を決めた。しかし、既存債務の扱いを含め資金調達の当てはなく、自己資金も乏しく、加えて三陸沿岸の水揚げが回復するかも不明であり、今後の見通しが立たない中での判断であった。 4月から㈱岩手銀行はじめ金融機関に事業資金の新規借入の相談を始めたが、既存債務もあり、新規融資には難色を示された。伊藤部長は「その当時、補助金活用は念頭になく全て新規借入で計画を作成していたので、金融機関が難色を示すのは仕方がなかった」と振り返る。 資金調達について岩手銀行と相談する中で、グループ補助金活用の助言を受けた。当社は6月の一次公募に申請することとした。申請書類は資金調達のために作成した事業計画を修正し活用した。また、申請に際しては、当社の工場等7施設全てを復旧するのでなく、事業継続に最小限必要となる主力の大槌冷凍工場と第二冷蔵庫の2施設を仮復旧させる内容の計画を策定した。伊藤部長は「最小限の資金で事業を再開できることをアピ事業再建展望本格実施準備構想・計画課題課題への対応3.11仮復旧中小企業診断士の支援顧客の維持資金調達本格復興早期の継続判断銀行の償還猶予グループ補助金等獲得熱心な営業による取引継続業容に合わせ着実に業務をこなす復興補助金等獲得計画策定計画策定最小限の投資補助金活用借入金削減 大槌冷凍工場

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