被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
120/146

107 事例3-2 ホームセンターを災害復旧拠点に~BCPとビジネスの両立~ 福島県福島市 1.震災を契機に事業継続マネジメント'BCM(を見直し 2.地域のニーズに細かく対応した地域密着型経営の展開 株式会社ダイユーエイト 1976年設立、従業員数1331人'2013年2月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 福島市の㈱ダイユーエイトは、福島県を中心にホームセンターなど88店舗を展開している東証一部上場企業である。設立は1976年、年間売上高400億円で東北圏内では独立系ホームセンターとして最大手である。震災当日は停電中でも店舗を営業して、地域のライフラインとして機能した。当社はホームセンターが地域に果たす役割を改めて再定義し、より地域に密着した経営戦略を取ることで売上を伸ばしている。 '2(バックグランド'背景( 福島県はもともと自然災害が比較的尐なく、震災前は地震保険の基準料率がもっとも低い県の一つだった。そのため、福島県下の事業者には大規模自然災害対策の必要性についての認識が薄く、事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)への関心が必ずしも高いとは言えない状況であった。 震災の際には、当社のホームセンター事業という特徴から、扱っている商品に災害復旧に役立つものが多かったという事情があり、必然的に地域における復旧対策拠点として機能することになった。当社では、店舗の半分が停電し、一部には天五が崩落して店舗での営業が不可能となったが、幸いにも顧客と従業員には被害が出ず、商品を外に出して駐車場で販売するなど、震災当日も営業を継続した。販売した復旧関連商品は、補修資材やスコップなどの用具、避難所で使用する日用品や暖房用品、生活物資など、老人用や女性用衛生品などが主なものであった。また、福島県内でも2週間断水した地域があったため、店舗内のトイレを地域住民に開放した。農業用ポリタンク(1000L)なども販売していたので、それを軽トラックに積んで給水機として活用するなど、住民のた展望本格実施3.11従業員の生活再建避難住宅への送迎、配食発災直後の対応自衛隊・警察等への資材の提供地域住民への施設開放地元密着経営の実践パートタイマーからの意見聴取BCPの見直し専門店の役割自治体・公的機関との災害物資協定社員の雇用確保災害時指定車両による輸送手段の確保やることリストの共有化拡大戦略とリスク分散県外への店舗拡大流動性の確保課題課題への対応雇用の拡大準備構想・計画地域社会への貢献地域生産者との連携ダイユーエイト福島黒岩店

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です