被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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97 事例3-12 ものづくりの技術で高機能野菜に挑む! 福島県会津若松市 1.農家と競合しない植物工場の商品開発 2.秋田県立大学の知財を活用、量産化技術の開発 3.安定供給のためのフランチャイズ制度の構築と販路開拓 会津富士加工株式会社 1967年設立、従業員数70人'2014年4月現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 会津若松市の会津富士加工㈱は、大手電機メーカーの系列下請けとして半導体製造を手がけていたが、2011年に電機メーカーが半導体事業を縮小したのを機に半導体製造施設であるクリーンルームを植物工場に転換し、機能性野菜ビジネスを展開している。 当社の作る機能性野菜「低カリウムレタス」は、カリウム含有量が従来のリーフレタスの4分の1以下となっており、生野菜や果物の摂取ができない透析・腎臓病患者でも安心して食べられる世界で唯一の商品として世界中から注目されている。 '2(バックグランド'背景( 福島県に生産拠点を置く大手電機メーカーでは震災前から半導体事業を2011年中に半分に縮小することが決定されていた。下請けとして半導体製造を請け負っていた当社には、当時75名の社員のうちの35名が半導体製造のラインで働いており、リストラを余儀なくされる状況にあった。当社の松永社長は、リストラだけは回避したいと考えていた。「自分たちの会社は下請けとして質の高い製品を納入すればそれでよいと考えていたが、それは他力本願であって、自分たちでは何も努力したことがなかった。自分たちが発明・開発したものを世の中に提供する、本当の「メーカー」になるのだと決意した。」と、松永社長は述懐する。 社員から提案を募ったところ、クリーンルームを植物工場にして野菜を作ろうという案が出た。当時、野菜工場については第二次ブームを過ぎていた頃であり、どこも経営的には失敗していた。その理由は明らかで、農家と競合した作物を作ってもコストで勝てないためである。そこで、当社は、農家で作った野菜が食べられない人に向けた野菜作りをしようと考え、まず小さな子ども向けに苦味をなくした野菜を作った。苦味の主成分である硝酸態展望本格実施半導体事業縮小コストダウンと雇用の両立リストラの回避課題課題への対応機能性野菜・果物の開発低カリウムレタスの鮮度保持低カリウム野菜、果物の開発秋田県立大学の特許データ収集・解析・改良農家と競合しない商品の開発植物工場の事業化社員からの事業企画提案募集低硝酸態窒素野菜の開発・販売量産技術の確立供給体制の構築フランチャイズ制度の構築全量買取&品質管理販路開拓退職者・高齢者の雇用人工透析患者の雇用の受け皿準備構想・計画3.11低カリウムレタス

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